『大地の掟』から、どのような展開になるのかと…。舞台が世界に広がりカナダへ。祐司が大学の講師として働くので、湊の嫉妬が女子学生にまで及ぶのには笑えました。
重い内容でさらっと読めない分、訴えるものがしっかりあり、考えさせられる名作だと思います。
私的に、未来少年コナンの“コナン”と“ラナ”の関係(一途な思いと野性的な行動)に“湊”と“祐司”が重なってみえてしまうのは、私だけでしょうか?
精霊、妖精などのファンタジー好きな方にはお勧めです。もちろん、ファンタジーが好きでない人も必ず、ミスターシーナとその回りのもの達に魅せられるはずです。
しかし、ストーリーは決してほんわかしていません。音楽業界の華やかさと厳しさ、その中で夢を追う少年の焦りや苦悩、不安。
名器「ガルネリ」や、亡き兄の鬼気迫る音に自分を見失ってしまう姿。それらは痛々しいほど克明に描写されています。
そして、困難から音楽をあきらめそうになった彼を救ったものの正体とは。。。? 綺麗な時間北米の小さな町を舞台に、バイオリンをつくる少年と、教育を受けたことはないけれど、バイオリンを弾くことに関しては並々ならぬ才能を見せる少年の、淡く爽やかな友情物語です。恋愛ものではない感じですが、とにかく絵が綺麗。詩のような言葉づかいといい、素敵な時間が流れているような世界です。
物語の主軸は、天涯孤独の身で、死んだ兄の親友に養われている天才少年の成長。自分のことも現在の養い親のことも深くは知らず、ひたすら無邪気だった幼い少年が、友人に出会い、教師をみつけることで音楽業界に巻き込まれ、兄の姿やその苦悩に気づいていきます。しかし、話はどこまでも爽やかで、けしてドロドロはしていないのが良いです。
個人的には、主人公の兄とその親友の関係が素敵だなぁ、と思いました。主人公2人よりも色っぽい感じで…。「夏の名残りのばら」、このタイトルに全てが集約されている気がします。