『子供は止まらない』1・2巻だけでも読めますが、前作『毎日晴天』1・2巻もオススメです。絵の変化は殆どありませんし、シリーズを読むことで生まれる深みがあります。
必要なシーンは丹念に、かつわかりやすく描かれている。小説ではある種、胸が痛くなるほどの重さを背負っている、勇太と真弓のカップルがコミック化によって、二人で居る時の明るさと可愛らしさがより前面に出て、その幸せな空気をより強く感じることができる。
物語はシリーズ中、最も若いが最も老成している勇太の、その重い過去と弱さ脆さが前面に出た、辛く長い日々の始まり部分。そんな勇太をやるせなく想う真弓の強さとしなやかさを垣間見て、大人になっていく二人を見守るのは、花屋の龍と同じ気持ちになる。
前作までの賑やかな家族の様子が減った分、笑いを誘う部分は少ないものの、
シリアスなこの子供たちの成長を見守りつつ、どうにも歩みの遅い大人カップル(大河×秀)と、赤裸々な会話に赤面しつつ逆ギレする明信、そんな明信を見てられないと嘆く丈、という帯刀家の面々を見るのはやはり、嬉しく楽しいと思う1冊である。小説から始まった「毎日晴天」だが、コミック、そしてCDと他の媒体に進化して
しかもそのすべてのクオリティが期待を裏切らないものであるということがこの原作の強さであり、上手さであると思わずにいられない。
と書くと、重い内容に見えますが、読むと実はかなり笑えるんです。笑える設定、奇妙な人物盛り沢山。本当は暗い話を巧みに”笑い”におさめている・・・菅野氏のさすがなところです。
ただ、菅野氏の小説に慣れていないと、急展開についていけない感がありますね。うまく麻生氏が絵にしてくれていますが。